R7:2025
非火薬線香花火を作ろう
※元中学理科教員が2012年に開設した「火薬を使わない線香花火」の紹介サイトです。
op
線香花火は江戸時代に火縄銃の火薬から生まれた日本の伝統花火の一つです。
一般の方が火薬を扱うことは法律で規制されているため、火薬を使う線香花火作りには制限が多くあり、ほぼほぼできません。
でも、火球から火花が出る花火なら火薬以外の薬品でも作れるため、小学校高学年以上で薬品や火を安全に扱う知識や技能があれば問題なく作ることができます。
線香花火を火薬成分を含まない炭酸カリウムで作る方法は、伊藤秀明・宮本正彦氏「化学と教育」(1991)によるものです。念のため、この薬品で作る線香花火は火薬類取締法の規制対象外であることを所管省庁に確認しています。(2010.9.29)
炭酸カリウムは食品添加物の「かんすい」にも使われている薬品ですが、線香花火に使うには次の3点の注意と対応が必要です。
@蒸し暑い時期は、すぐに湿気る
⇒手早く作成、手早く着火 !
A湿気で強力洗剤並の強アルカリ性になる
⇒特に目に入らないように注意 !
B着火しても燃え上がらない
⇒火球を作るための高温加熱が必要 !
線香花火には、こよりの「長手」とわらに火薬を付けた「すぼ手」があります。
こよりは大人でも難しいため、小学生向けに水引とハンドクリームで作る「簡単すぼ手」を生徒と開発し、これまで多くの子どもたちに作ってもらいました。
しかし、2年前。送付キットで屋外ワークショップを行った方から 「成功した子がほぼなくがっかり…」との報告がありました。
同時期に行った室内WSでは問題はなかったため、猛暑と多湿の屋外環境で薬剤潮解とハンドクリームの溶け出しが起きたようです。
今後も猛暑が予想されるため「こより」の作り方と着火法を見直し、「和火キット」として昨年6会場の室内WSで、参加者全61名が1時間内に大きな火花を出すことができました。
そのキットがこちら
※長さ10cmの極短こより
極短こよりでちょっとだけ簡単になった「長手」。薬剤はタレビン入りの2種類。
着火は100均やコンビニで購入できる高温炎の「ターボ式ライター」で行います。
※送付キットには、説明書を同封していますが、こよりを作る指使い、火種を火球に育てる息のかけ方など、直接お見せすることができないのでかなり苦労されると思います。
でも、火球ができてグツグツしてきた時は「キタキタキタ!!」、そしてついに火花が出せた時には、「お〜っ!」と思わず声が出ると思います。
わずかな薬剤量の違い、こよりの巻き方、風や湿度の違いで火花の出方が変わる長手牡丹の繊細さをじっくり時間をかけてご堪能ください。
スマートレター210円
キットはスマートレターでお送りします。代金(送料込み)は同封する返信用封筒で下記の切手を返送してください。
〇和火キット
1個:110円切手4枚+1枚
2個:110円切手5枚+1枚
※+1枚は返信用封筒に貼る切手です。
※キットはご家庭・個人向けですので、お送りできる和火キットは2個までです。
※こよりは難しいため多人数・短時間・屋外ワークショップには不向きです。
※少人数対象で時間的にゆとりがある時はご相談ください。
※安全に作れるように配慮したキットですが薬品と火を扱います。個人(保護者や指導者)の責任で行える方のみに限らせていただきます。
なお、申し込み時に安全確認のため作る方の学年や年齢層をお聞きします。
硝酸カリウムを使った花火作りは、火薬類取締法の規制対象です。火薬を使った事件の影響もあり、規制は強化されています。
特に18歳未満には「理化学上の実験」でも禁止されていると認識された方が賢明です。
取締法における「理化学上の実験」の法的解釈は所管省庁の経産省にあり、いわゆる学校での実験とは違う解釈です。
私がこの活動を始めた理由もこの認識不足から生徒の研究で騒動になったからです。
また、文科省では「爆発物の原料になり得る化学物質(26初教第90号)」に指定しており、火薬による事故は警察通報義務があり、「生徒による持ち出し」は学校の管理責任が問われます。
特に中学校では、溶解度実験で使用した硝酸カリウムがまだ薬品庫に残っている時は、教育委員会にその扱いについて確認しておくことを強くお勧めします。
※この活動は、武田科学振興財団・中学校理科教育振興奨励費で下記個人が平成24年(2012)に始めました。
Profile
弓北清孝:千葉市在住の線香花火の魅力を非火薬で伝えたい中学理科教員OBです。
copyright©2012 YUMIKITA all rights reserved.